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今月のびっくりどっきりCD (2005.11.25.) |
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フェリックス・メンデルスゾーン Felix Mendelssohn(1809-1847) 序曲≪静かな海と幸ある航海≫ op.27 * ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64 + (Live Recording)
カール・チェルニー Carl Czerny(1791-1857)
タスミン・リトル(ヴァイオリン)+ |
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■ さてジャケットのソリストの写真からもわかるようにこのCDのメインはイギリスにも馴染みの深かった音楽家であるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲で、 若手注目株のタスミン・リトルのこの曲の録音は今まで無かったと思うので充分なセールスポイントではある(美しくもあまり媚びない、程よい甘さの ビターチョコみたいな佳演)。しかしこのCDの本当のウリは後半に入っているチェルニーの交響曲第1番ではないだろうか。
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チェルニーはご存知ピアノの練習曲で有名なあの人だがベートーヴェンの教えを受けたピアニストであり、リストをはじめとする名手を輩出した優秀な
教師でもあった。初期ロマン派様式の管弦楽曲や室内楽を残していて、交響曲も6曲ほどあり≪グランド・シンフォニー≫と名付けられた第1番はなんと
「作品780」!山のように曲を書いていたらしいが、今では件の練習曲以外はほとんど忘れられている。確かにこの交響曲を聴いて判る通り、やはり
ベートーヴェンの弟子だったリース同様、保守的な作風でベートーヴェンに学んだものから一歩も外に出ていない。フランスでは
同時期にベルリオーズが≪幻想交響曲≫を書いていたということを考えると、この作風はアナクロニズムの謗りを免れない。しかしベルリオーズこそ当時の
音楽界のレヴェルからすれば異常なのであって(同じくフランスでは当時著名だったオンスロウも実質はベートーヴェンの劣化コピーのようなものだった)、
現代の自分達にとってはチェルニーの作品群は初期ロマン派の実態を知るための重要なサンプルということもできるのだ。
■ ところでメンデルスゾーンは直接の教えは受けていないものの、ベートーヴェンに私淑していた。こちらはチェルニーと違い、学んだものを消化・発展させていった パターン(だからこそ大作曲家として名を残したわけだが)。つまりこれはベートーヴェンの影響後、相対する道を歩んだ二人を並べた意欲的な 試みのCDなのだ。1曲目に入っている序曲はゲーテの詩を題材とした交響詩風のもので、ベートーヴェンに同名の声楽曲があることと、 さらにこの曲の旋律をイギリス人の誇るべき大作曲家のエルガーが≪エニグマ変奏曲≫で引用していることも合わせて考えると 「イギリスをめぐるベートーヴェンの影」という構図も見えてきてなかなかに秀逸な選曲だ。あ、今気付いたがチェルニーってモーツァルトの没年に生まれて、 エルガーの生年に亡くなっているんだ。
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それにしても雑誌の付録なら大衆受けする選曲にしそうなもので、前半がメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ならば後半は同じ作曲家の≪スコットランド≫とか
≪イタリア≫とか入れるところをアッサリ外してマイナー曲を持ってくるのだからすごい。日本の音楽雑誌も大して役に立たない細切れ音源を集めたサンプル盤など
作らずにこのくらいの・・・とか書こうと思ったが、なんとなく書くだけ無駄なので中止。w |